ベースを購入するときに、初心者セットや値段の安いモデルを選ぼうかと悩むことがあると思います。
ベースの値段は数千円〜数百万円とピンキリで、とても高価な楽器がある一方で本当に安い楽器で大丈夫なんだろうか?と不安になりますよね。
・安いベースは上手く弾けないってほんと?
結論から言うと、安いベースでもほぼ問題ないです。
エントリーモデルなどのベースを何本も触ってきましたが、もう全然弾けます。
「ほぼ」と言ったのは、細かいことを言えば気になることはあるけれど、あまり気にしても仕方ないことばかり。という意味です。
ここでは、安心して初心者向けベースが買えるように、あえて安いベースの悪いところをみてみましょう。
目次
安いベースのデメリット
そもそもなぜ値段が安いか理由を考える
いきなり小難しい話になりますが、そもそも何で値段を安くできるのかを考えていくことで、デメリットが見えてきます。
ベースに限らず何かの製品の値段は、それを作るのに掛かった材料や手間によって大きく変わります。
当然、高級な材料を使ったり、より多くの手間をかけて作られたものは値段が高くなります。
ベースの場合、木目の珍しい貴重な木材などは値段が高くなっていく傾向があります。
ピックアップなどのパーツも良いものは値段が高いため、これらを使用したベースは値段が高くなります。
また、手間をかけて調整を行っていくことで最高のベースに仕上がっていきますが、その分職人の手間賃がかかってきます。しかも人気の職人ほど手間賃は高くなります。
超高級なハイエンドベースの多くは、最高級の材料を使って一流の職人が仕上げた一品なのです。
・貴重な材料や高価なパーツを使っている
・職人が時間をかけて楽器を作り込んでいる
逆に言うと、安いベースには安価で手に入りやすい材料やパーツが使用されており、また出来るだけ手間をかけずに製作されているということです。
・安価で手に入りやすい材料やパーツを使っている
・出来るだけ手間をかけずに作っている
値段が安いから多少出来が悪いのは当然・・とはいえ、がっかりするほど悪いわけでもありません。
もう少し具体的にみていきましょう。
安価な材料、安価なパーツ=音が悪い?
安価なベースは使われている木材やパーツ自体のコストも抑えられています。それぞれの影響を実体験をもとに説明します。
木材の違いはまずわからない
ベースの材料となっている木材は、木の種類によって多くの種類があります。
よくスペック表などにも、使用されている木材などが細かく書いてあったりしますよね。
で、木材の種類によってどれだけ音に違いがあるのかというと、実はそれなりに差があります。
印象としては重く硬い木材のものほど芯のブレない音がするような気がします。逆に軽くて柔らかい木材のものほどぼわっと広がるようなイメージです。(個人的な感想です。)
指板材はとくに違いがわかりやすく、よく使用されるメイプル指板は硬質な音で、ローズウッド指板は比較的柔らかい印象です。
それぞれ個性があって面白いのですが、どれも微妙な差なので弾き比べしないとよくわかりません。
これから最初のベースを選ぼうとしている場合にあっては、おそらくどれを弾いても「よくわからん」だと思います。
木材の違いは気にすることなく、見た目とか重さで選んでしまって問題ないです。
ピックアップなども普通に使う分には困らない
木材のほかにも、ピックアップやペグやブリッジなど、ベースにはいろいろなパーツが取り付いています。
パーツ類の中でもとくにコストがかかり、しかも音に直接影響するのがピックアップです。
ピックアップの値段も一つあたり1000円程度の激安モデルから、2~3万円もする高級モデルまで色々です。
もちろん高級なものほど深みのある良い音になっていきます。ミドル〜ハイエンドに搭載されているようなピックアップと低価格ベースに載っているピックアップは見た目は似ていても質の面で差があるのです。
中価格帯以上のピックアップであっても、音の良し悪しは弾く人の好みによるものなので、ある程度の価格帯以上のものならば評価は人によって様々です。
しかし安価なピックアップになると音がクリアでなかったりして、良いピックアップの音を知っている人ならば「ちょっと違うかなー」となります。
と言っても音が出ないとか、音程がおかしいとかいうことはないので別に弾こうと思えば全然弾けます。
結局は、多少の経験がないと音の良し悪しすら気がつかないですし、そのくらいの差しかないということです。
安物がダメだという人は、良いものを知っているためにその人にとってはダメなだけなので、比較する基準のない初心者にとってはダメな理由になりません。むしろ安いから選ぶ、という方が合理的だと思います。
手間がかかっていない=弾きにくい?
高級なベースは職人が時間をかけて丁寧に仕上げています。弾きやすいようにボディやネックの形を整えたり、パーツを組み込んんだりと手間がかかっています。
一方で安価なベースは工場で大量生産され、流れ作業の中で細かいところまでチェックされていない場合がほとんどでしょう。
具体的にどのような部分で差が出るかと言うと、私が経験したもので以下のようなものが見られます。
どれもちょっとずつ嫌なことなんですが・・、最悪自分でなんとかするか、と思えるならば目くじら立てるほどではないです。
- 塗装の割れや傷
- フレットの処理があまい
- ネックの角の処理もあまい
- 電装キャビティ部に木屑がある、配線が雑
1.塗装の割れや傷
最初からボディに傷があったり塗装が剥げてたりすることが普通にあります。
新品のベースに傷がついているのはショックかもしれませんが、ベースは少し使っていれば傷がついて当たり前なので、遅いか早いかの問題です。フレットなど弦が触れるところに傷がなければセーフです。
2.フレットの処理があまい
フレットは長い金属の材料を切って使用しています。
材料を切ったままだと切り口が鋭く危険なので角を丸めるように削る作業を行い、さらに左手の動きの邪魔にならないように細かく形を整えていくものです。
低価格ベースでもフレットの処理は行われていますが、最低限の角落としはしているものの微調整まではされていない様で多少弾きにくいかなと思うことがあります。
3.ネックの角の処理もあまい
ネックの角も演奏しやすいようにまるめ処理をしますが、こちらも処理があまく「ちょっと弾きにくいかな」と思うことがあります。
角のまるめ具合はネックの幅や厚みなどと合わせて好みでしかありませんが、演奏のしやすさに直結するので自分の好みに合ったネックを探すことは重要です。私がいま使用しているベースもほとんどネックで選んでいると言っても過言ではありません。
4.電装キャビティ部に木屑がある、配線が雑
キャビティとは、ボリュームやトーンコントロールの内部のことです。普段は開けないところなので自分で改造やメンテナンスをする人でなければ内部を見ることもないでしょう。
とくべつ音や引きやすさに影響はしませんが、この部分にボディの加工時の木屑などが入っていることがあります。悪い影響はないですが、品質のレベルがよくわかるポイントです。
また配線が雑がちで、ハンダが取れたりして音が出なくなるトラブルが起こる可能性がありますが、簡単に修理も出来ますのでそれほど心配することではありません。
結論 デメリットがあっても安いベースをオススメします
色々とダメなところを挙げてみましたが、どれもちょっとずつ悪さはするものの全然弾けないほどのものではありません。
それなりに色々なベースを弾いている人であれば、「あれ、ちょっと弾きにくいな」と感じるでしょうが、とくに初心者であればまず気にならないでしょう。
国内で流通しているものであれば、全く弾けないようなものは無いと思いますので安心して初心者セットや激安ベースを選んでもらいたいです。
だんだん上達してくると必ず2本目の楽器が欲しくなりますので、そのタイミングでワンランク上のベースを色々と試奏してみると、楽器の良し悪しがわかるようになり、自分にとってどんなベースが良いのかが見えてくると思います。
最後に
ベースを始めるのに最初はあまり費用をかけない方が良いと思います。なぜならば、最初はやるきが合っても長くは続かないこともあるからです。
せっかくの楽器が埃をかぶってしまうのはとても勿体ないことです。無理のない予算から初めていくことをオススメします。