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【マークレヴィン/ザ・ジャズセオリー】8000円越の高級教則本を挫折してしまった話

the jazz theory




ジャズの教本は各種様々ありますが、その中でも評判の高い一冊にマークレヴィン著の『ザ・ジャズセオリー』というものがあります。

巻末情報によると本書が発行されたのは2004年。私は2015年ころ当時改めてジャズセッションに参加しようかと考える中「ちゃんと勉強しなきゃな・・」と思い一念発起しアマゾンで購入しました。しかし意気揚々と取り掛かるも数十ページをこなしたところで挫折してしまいそのまま本棚にしまいこんでいたのでした。

実はこの本、定価7600円、税込み8000円オーバーと数ある教則本の中でもトップクラスに高価です。そのため、興味はあっても中々購入に踏み切れない方が多いと思いますので、この記事が判断する材料になればと思います。




私のレベルはこの本に合っていたか

最初に参考までに私、いぬたぬきが音楽的にどのくらいのレベルなのかご紹介します。

  • 主に演奏する楽器:ベース(エレべ)
  • 楽器歴:10年 大学ジャズ研~社会人バンド
  • 主に演奏するジャンル:ジャズ、ファンク、ソウル、ポップス
  • インプロビゼーション:多少できる(つもり)
  • その他:コードは読めるけど五線譜は苦手

一応コード進行に沿って弾けてるっぽいけど大して上手くないよ。というレベル。ジャズ経験があるので2-5-1とかの進行には馴染みがあります。五線譜が苦手でピアノは弾けません。

ちなみに本書は出版社ATN自身のレベル付けによると「ジャズ初心者~上級者」向けとなっています。実際に内容を見ても大体理解ができるので、私くらいのレベルに丁度よさそうです。

マークレヴィン ザ・ジャズセオリーはこんな本

とにかくボリュームがすごい

内容もさることながらまず記したいのはそのボリューム。

本書はA4用紙よりも少し大きいというサイズで厚みは3cm。およそ470ページという大作です。特別装丁が豪華なわけでもありませんが、ずっしりと重くサイズ感も相まってまるでコピー用紙の束を持った時のような手ごたえがあります。ちゃちな譜面台だと支えきれずに倒れてしまうかもしれません。

持ち歩いて使用するようなものではなく、腰を据えてじっくりと取り組むタイプの教則本です。

見開きでA3以上になる広い紙面には小さめの文字で説明文が書かれ、実例の譜面が横に並びます。大体文字と譜面の比率は50:50くらいです。

 

内容はコードなどの基礎からリハモなどの応用まで網羅

本書は5つのパートと24のチャプターで構成されています。

Part1 理論:コードとスケール

Part2 メジャースケールと2-5-1進行

Part3 リハーモナイゼーション

Part4 チューン

Part5 その他の重要なこと

 

Part1は音のインターバルから始まり、メジャースケールとモード、2-5-1その他のよく見るコード進行などが紹介されます。最初はダイアトニックの範疇で展開されますが、後半にその他のスケールから派生したコードにつながっていきます。

Part2ではより実践的に音の集合であるスケールから音楽的フレーズを構築していくための話になり、わざと音をずらしたアウトサイドの演奏やフレーズにバリエーションをもたらすためのスケールの紹介と実用例などが説明されます。

Part3では演奏にオリジナリティを持たせるため、リハーモナイゼーションの手法を学び、Part4で実際の曲の構成AABAや、イントロ、エンディングの考え方、リードシートの読み方(間違いの探し方など)に進みます。

Part6はその他としてサルサなどのラテンミュージックとジャズの関係を歴史的背景を踏まえた説明や、未解決の問題としてどことなく界隈で語られる話、例えば「ベーシストに配慮してピアニストはルートを省いて演奏しなければならない」などに対して必ずしもそうではないということと、総じて音楽理論とは完全ではなく目安、目印としかならず、何よりも聞くことが大切であることが語られます。

 

読者と同じ目線であり、説明が丁寧でわかりやすい

本書は内容がわかりやすいと評判が良いですが、実際とてもわかりやすく、一度読んだだけで内容がすっと入ってきます。

口語調なのも相まって、まるで隣に寄り添ってくれるているかのように同じ目線で説明が展開されるので着実に理解が進んで行きます。著者の基本的思想として音楽理論は完全なものではなくいくらでも例外がある。ということを認めているので、理論的にもふわっとした内容は無理に言い切らずに、「~場合がある。」「~でしょう。」という調子になります。

これが個人的にツボで、ふわっとした内容のものを無理やり「~だ」と決めつけられると、そうではないパターンが出てきたときにもやもやしますし、納得できないままゴリ押しされても説明者に不信感を持ってしまいます。

悪い参考書だと、数式や理屈を教科書的に暗記させようとしますが、その対極にあるような感じです。まるでわかりやすい塾講師の話を聞いているような気持ちになります。

理論の実例も豊富で、さらに実際に「誰々の○○の曲のここで使われている」と譜面付きで紹介されていきます。ほとんど一つの説明ごとに演奏例が紹介されるので、紹介されても聞ききれないほどです。

著者の独自の切り口で説明されるので、すでに知っている内容のものでも新たな発見があり、そういう意味で中級者~上級者にも人気があるのだと思います。

私が進められた中でとくに面白い考え方だと思ったのは、「コードをスケールのシンボルとして考える」というところです。当たり前のようなことですが、小難しいコードが出てくるとスケールを考えることを放棄しコードトーンで演奏しがちな私にはハッとさせられる言葉でした。

なんで挫折したか

難易度が高いわけではないが初心者向けではない

上記したように本書は音楽理論の基礎から始まりますが、まったくの初心者を対象としているわけではないように思います。体感的には(大して上手くなくても)ジャズセッションに参加して一曲通しで弾けるくらいの人に対して、改めて基礎から勉強するのに丁度良いレベルに感じます。

序盤からトライアド、モード、ドミナントなどの用語が出てきますので、ここで「?」となっていてはキツいです。逆に大体OKならば問題ないと思われます。

 

ピアノが弾けないとイメージできない部分がある ←主にこれが原因

本書には実例として多くの譜面が掲載されており、説明されたないようが実際にどのようにサウンドするかを確認できるようになっています。

ベースでも単音ならば譜面をなぞれますが、和音になると綺麗に弾きことがむずかしくなります。ピアノが弾けるひとならばさっと弾いて確認できるのでしょうが、私はピアノが弾けません。

一つずつ音を確認しながら鳴らすことはできますが、いかんせん慣れてないので時間ばかりかかってしまいかなりストレスです。

説明されていることはわかる、ベースで弾いてもある程度イメージできる。でもちゃんとした正解の音は確認することができない。このもやもや感がダメでした。そんなんどんな教則本でも一緒じゃ!と思われるかもしれませんが、やたら説明がわかりやすいのでどんなサウンドなのかちゃんと聞いてみたい気持ちになるんです。他つまらない教則本だったらすっとばしてたと思います。

ただ根気がないだけじゃねーかという気もしますが、やっぱりまともに勉強しようと思ったらピアノスキル必要ですよね。

そんなわけで徐々にモチベーションが低下し、積みに至ってしまいました。これを機にもう一度挑戦しようかと思う次第です。。。

なんとなくジャズしちゃってる人にオススメ

なんとなくジャズやっていて、もう少しちゃんと勉強しようかな。と思っている人にオススメします。ピアノが弾けるならばこの本を素晴らしさを100%堪能できると思います。

インプロビゼーション全般の教則本なので、演奏する楽器は問いませんし、ポップスなどのアレンジとしてもとても参考になると思います。

説明の切り口が良い意味で独特なので、他の教則本がイマイチだったという方にも再挑戦する価値があるかもしれません。8000円オーバーとかなり高価ですが、基礎をしっかり固められる内容なので長くジャズを続けようと思われるならば手に取ってみても良いと思います。

音楽的な歴史や著者オススメのジャズ録音、聞きどころなどの情報もびっちりなので、演奏だけでないジャズ全般の知識が増えるでしょう。