コードというのはいくつかの音が集まってできた和音のことで、通常ギターやピアノなどの複数の音を同時に鳴らすことが得意な楽器が弾くことが多いものです。
ベースは基本的に単音で演奏するためにコードとは無縁のように思えますが、ベースも複数の弦を同時に鳴らすこともできますので実はベースでも和音を鳴らすことが出来ます。
ベースでのコード弾きはあまり見かけない演奏方法ですので、テクニックとして覚えておくとネタとして使える場面が結構あります。ふたを開けてみれば難しいことではないですが皆さん面白がってくれるので覚えておいて損はありません。
また、メロディと組み合わせてソロベース(一人でベースラインやコード、メロディを同時並行で弾くこと)へ発展させたりとベースでできることが増えるのでとっても面白いです。
基礎がわかれば簡単 コード弾きのコツ
ルート、3度、5度 ←これを鳴らせばコードになる
コードは基本的にルート、3度、5度と呼ばれる3つの音で構成されています。これらを同時に鳴らすことができれば綺麗に和音が鳴るというのがコード弾きの仕組みです。
3音でいいの?コードってもっと複雑だと思ってた!
コードというのは和音の総称なので、3音に色々と追加したりしてバリエーションがものすごく多く存在します。そのためにコード=覚えるのが大変、と思われていますが基本的なコードはものすごくシンプルです。
Cというコードがあった場合、ルート:C、3度:E、5度:Gの3つを鳴らすことでCコードの響きになります。
ルートや3度、5度というのは音の間隔(インターバル)のことで、ルートからメジャースケール(CならばCDEFGABC)を弾いたときに3番目の音を3度、と5番目の音を5度と言います。
ちなみにルートから2番目の音を2度と呼びますし、7番目を7度と呼び、この呼び方を「度数」といいます。コードを覚えるときには度数で考えるほうが何かと便利でわかりやすいので慣れておくことをオススメします。
また、コードの基礎についてはこちらの記事でも説明していますのでご覧ください。
必ずしも全部の音を鳴らす必要なない
それでは早速Cコードを鳴らしてみましょう。Cコードのルート、3度、5度のポジションは上の通りです。
いやいや、3度と5度が同じ弦だから弾けないよ。
たしかに3度のEと5度のGが同じ弦上にあるために同時に鳴らせません。そんなときは思い切ってどちらかを諦めましょう。
えぇ・・・そんなのでいいの。
コードの音を抜いて弾くことは全く問題ありません。実際のバンドの中などでは、全員が同じ音を弾くとその音が協調され過ぎてしまうなどの理由でコードの音をわざと抜くというテクニックが普通に使われています。
バンドでの演奏であれば、他の楽器の音と合わせて全体としてコードのサウンドが鳴っていれば大丈夫です。それに実際に弾いてもらえればわかりますが、省く音を間違わなければ1つ音を抜いたくらいで楽曲の印象が変わるほど影響はないことが多いです。
音を抜くときの注意点 それぞれの音には役割がある
しかし音を抜く場合には少し注意が必要です。それぞれの音にはコードの中での特徴というか、役割のようなものがあり、音の抜き方を間違えると本来鳴って欲しいコードとイメージが大きく変わってしまう可能性があります。
それぞれの音の特徴
- ルート コードの主役。必要不可欠。一番低い音でなければならない。
- 3度 コードの明るさ、暗さを左右する。重要。
- 5度 ルート音との相性バッチリ。できればあった方が良い。
ルートはそのコードの超重要な音で、この音が抜けるとコードの響きそのものが変わってしまいますので絶対に必要です。テクニックとしてあえて抜いてみるのはアリですが、扱いに慣れていないとアンサンブルを崩すだけになってしまいますので止めておいた方が無難です。
3度の曲の明暗を分ける音で、聞いたときに明るく聞こえるか暗く聞こえるかが変わってきます。この音を抜いてしまうと明暗がはっきりしないコードになるので、味気のないつまらないコードに聞こえてしまったり、メロディの雰囲気とミスマッチしたりするので割かし重要です。
5度の音はルート音ととても相性がよくとてもきれいに響きます。コードに厚みを持たせたいときなどにいれたい音ですが、特別特徴のない音です。
鳴らしたい音が同じ弦上にあった場合どちらを選ぶか
さて、以上を踏まえた上でどの音を選びましょうか?
うーん、ここは5度を抜くのがベストですよね。
はい、それも正解です。5度を抜いてルートと3度の2音で鳴らすことで、最小限の音数でコード感を表現することができるでしょう。
あたかも5度が無個性でつかえない音のように説明されてしまいましたが、ルートと5度の組み合わせでも変ではないということも重要です。あえて音の明暗をあいまいにしたい場合などに3度を抜いてみたり、同じコードが続くときにアクセントとして入れてみたりと使い方は色々とあります。
ちなみに、同じ音が2つ入っていても問題ありません。
2音だけだと少し寂しいな、と思ったらオクターブ上のC音を入れて2種3音にしてみましょう。またすこし違った音の響き方がするはずです。
ルート、3度、5度の組み合わせがわかっていれば、その使い方はプレイヤーのセンス次第です。
実践編 ベースでコードを弾いてみよう
それでは実際にベース上でのコードポジションを紹介していきます。
とくに使用頻度の高いコードに絞って紹介しますが、基本的な考え方がわかってもらえると思います。
また説明上すべてC音ルートで紹介しますが、C以外のコードで弾きたい場合でもルート音に合わせてそのままポジションを平行移動させれば同じコードになります。例えばCメジャーのポジションのまま1音上にスライドさせればDメジャーになるということです。
3弦ルートのコードポジション
C 構成音 C,E,G
3和音のメジャーコードで基本的なコードです。
Cm 構成音 C,Eb,G
3和音のマイナーコード、メジャーコードの3度を半音下げたもの。
Ebとオクターブ上のCが遠いので指が開かない場合は、オクターブ上のCを省いても良いです。
また、マイナーコードの音の暗さを表現したいため3度を抜いて5度を入れるということはしません。3度を抜いてしまうとメジャー、マイナーの判別がつかなくなってしまいます。
C△7(CM7、Cmaj7) 構成音 C,E,G,B
今まで3和音のコードで説明してきましたが、4和音コードというものが存在します。
4和音コードとは3和音に1音増やすことでより音の響きに広がりを持たせたもので、4つ目の音がスパイスとなりますが、加える音によって特徴がさまざまなので上手く使うためには経験が必要です。今は5度音よりも優先度が少し高目と考えて出来るだけコードに組み込むようにしましょう。
C△7はCコードに7度の音を加えたもので、Cメジャーセブンスと読みます。表記方法がいくつかあり△7やM7,Maj7、あるいは7を省略して△やMajなどと書きます。
3度を抜いて5度で弾くパターン
Cm7 (C-7) 構成音 C,Eb,G,Bb
Cm7は4和音のマイナーコードです。3和音にセブンスの1音が加えられたものですが、注意してください。7度の音は半音低いBbになっています。
これにはややこしいですが事情がありますが、メジャーコードに7度を半音下げた音を加えた4和音がありこれをセブンスコードと呼ばれています。先ほどのメジャーセブンスコードは、セブンスが半音下がらない状態=メジャーであることをメジャーセブンスと呼んでおり、普通にセブンスと言ったら7度が♭した音のことを言います。
ここで3度を抜いてしまうと、マイナーを表現する音が消えるためセブンスコード(C7)に変化してしまいます。
4弦ルートのコードポジション
4弦ルートのポジションでも基本的な考え方は変わりません。ルートを基本とし3度、5度などを配置していくだけです。
C 構成音 C,E,G,
Cm 構成音 C,Eb,G
C△7(CM7、Cmaj7) 構成音 C,E,G,B
Cm7 (C-7) 構成音 C,Eb,G,Bb
C以外のコードを弾く場合はポジションを平行移動する
先に少し説明をしましたが、C以外のコードを弾きたい場合は押さえ方の形は変えずにそのままルートの位置をスライドすれば目的のコードとなります。
例えばDメジャーセブンスは構成音が D,Gb,A,Dbとなりますが、これを4弦ルートで弾こうとする場合以下のようになります。
Cメジャーセブンスと比較してもらえると、同じ形のまま2フレット分スライドしていることがわかります。このようにルートの位置だけ覚えておけばポジションはそのままで演奏することができます。ギターのコード帳の分厚さに比べら覚える量は雲泥の差ですよね。